「どの記事からリライトすればいいのか」を、そのときの勘や思いつきで決めていませんか。既存記事が数十本を超えてくると、感覚だけで対象を選ぶのは難しくなります。どの記事も直したほうが良さそうに見えてしまい、結局は目についた記事から手をつけて、成果の薄い作業に時間を使ってしまうケースが少なくありません。担当者によって選ぶ記事が変わってしまい、チームでの引き継ぎがうまくいかないという相談も多く聞きます。
本記事では、個々の記事の直し方ではなく、「どれから着手するか」という順番の決め方に絞って解説します。使うのは無料のGoogleサーチコンソールだけです。特別なツールを契約していない企業でも、今日から始められる手順を紹介します。
- サーチコンソールの「検索パフォーマンス」データをスプレッドシートに書き出して比較する
- 表示回数と掲載順位の伸びしろを掛け合わせたスコアで、記事同士の優先順位を数値化する
- スコアの高い記事から着手し、一定の頻度で表を更新して運用に乗せる
なぜ「どれも重要そう」で手が止まるのか
記事数が増えるほど、リライト候補も比例して増えていきます。担当者が一人ひとりの記事を読み込んで良し悪しを判断しようとすると、時間がかかるうえに、その日の気分や直前に見た競合サイトの印象など、判断基準が日によってぶれてしまいがちです。さらに担当者が交代すると評価の物差しそのものが変わってしまい、チームとしての一貫性が保てなくなります。
この問題を避ける方法はシンプルで、順位付けの基準を数値化してしまうことです。数値であれば誰が見ても同じ順番になり、「どれからやるべきか」を毎回議論する時間そのものをなくせます。属人化を避けたい組織ほど、数値によるスクリーニングの効果は大きくなります。
優先順位を決める作業自体に時間をかけすぎるのも本末転倒です。1本ずつ丁寧に読み込んで判断していては、実際のリライト作業に着手する前に多くの時間を使い切ってしまいます。判断のスピードを上げるためにこそ、機械的に処理できる基準が必要になります。
サーチコンソールから元データを書き出す

まず検索パフォーマンス レポートを開き、「ページ」タブに切り替えます。指標の表示切り替えボタンから「平均掲載順位」と「CTR」もオンにしておくと、クリック数・表示回数と合わせた4指標を同じ画面で確認できます。期間は直近3ヶ月程度に設定すると、季節要因に振り回されにくく扱いやすい範囲になります。
データが確認できたら、画面上部のエクスポート機能からGoogleスプレッドシート・Excel・CSVのいずれかで書き出します。ここで注意したいのは、標準のエクスポートは表示中データの代表サンプルとして1,000行までに制限される点です。中小規模のサイトであれば通常この範囲でまかなえますが、記事数が非常に多い場合はURLの絞り込み条件を分けて複数回に分けて書き出すとよいでしょう。また検索パフォーマンスのデータは最大16ヶ月分までしか遡れないため、比較したい期間がそれより前にならないよう設定を確認してください。
スコアをつける前にキーワードの重複を確認する
並べ替え作業に入る前に、忘れずに済ませておきたい確認があります。似たキーワードを狙った記事が複数存在していないか、書き出した一覧をざっと見渡すことです。同じ検索意図の記事が社内に複数あると、アクセスが分散して個々のスコアが低く出てしまい、本来まとめて評価すべき記事同士を別々に順位付けしてしまいます。
該当するケースが見つかった場合は、スコアリングの対象にする前に、どちらの記事に情報を集約するかを決めておきます。集約先を決めてからスコアをつけることで、優先順位表の精度そのものが上がります。もう一方の記事は、統合してリダイレクトするか、切り口を変えて明確に住み分けるかを合わせて判断しておくと、後から表を見返したときに迷いません。
表示回数と順位の伸びしろでスコアをつける

重複の整理が終わった一覧に、記事ごとの「伸びしろスコア」の列を追加します。考え方はシンプルで、表示回数が多いほど、そして掲載順位がもう少しで上位に届きそうなほど、スコアが高くなるようにします。表示回数と順位を掛け合わせただけの単純な計算式でも、勘に頼るよりはるかに一貫した並び順を作れます。難しい統計知識や有料ツールは必要ありません。
スコアで並べ替えたあとは、CTRが同じ順位帯の他記事に比べて極端に低い記事を別枠でチェックします。表示回数はあるのにクリックされていない記事は、本文の中身よりもタイトルや説明文が原因になっていることが多く、スコアの高低とは別の理由でリライト候補に加える価値があります。
なお、具体的にどの順位帯が伸びしろとして狙い目かについては、発信元によって見解に幅があります。例えばラッコ手帳の解説記事では8〜20位の記事を最優先の目安として紹介しています。断定的な基準として鵜呑みにするのではなく、自社の実績データと照らし合わせながら目安の一つとして参考にするのがよいでしょう。サイトによって競合の強さやジャンルが異なるため、まずは自社のスコア表で上位に来た記事から着手し、結果を見ながら基準を調整していく姿勢が現実的です。
並べ替えた表を運用のルールに落とし込む

スコア順に並んだ表ができたら、上から順番に着手します。一人ですべてを処理しようとせず、「上位5件を今月の担当分にする」のように、着手件数をあらかじめ区切って割り振ると運用が回りやすくなります。表は毎日更新する必要はなく、月1回など頻度を決めて見直すだけで十分機能します。頻度を決めておくこと自体が、優先順位付けを一度きりの作業で終わらせない仕組みになります。
すべてをスコアだけで機械的に判断しきれない場合もあります。公開して間もない記事は評価が定まっていないため一時的に対象から外す、問い合わせや商談に直結しているページはスコアが低くても優先枠に入れる、といった例外ルールをあらかじめ決めておくと、表と実務判断のずれを防げます。例外を認めた記事は、なぜ例外にしたかを一言メモしておくと、次に表を見直すときの判断材料になります。担当者が複数いる場合は、この表を毎月の定例ミーティングで共有し、着手済みの記事にチェックを入れていくだけでも進捗の見える化につながります。
まとめ
リライトの優先順位は、記事を1本ずつ読み込んで判断するものではなく、サーチコンソールのデータを書き出し、重複を整理したうえでスコアで並べ替えて決めるものです。表示回数と順位の伸びしろを掛け合わせた単純な指標でも、勘に頼るよりずっと一貫した順番を作れます。まずは直近3ヶ月分のデータを書き出すところから始めてみてください。
一度この仕組みを作ってしまえば、次回以降は表を更新して並べ替えるだけで済みます。新しい記事を公開したときも同じ表に追加していけば、サイト全体の優先順位を常に一つの基準で管理できるようになります。
株式会社オモイカネでは、サーチコンソールのデータ整備からリライト優先順位表の設計まで、マーケティング支援を行っています。自社での運用に不安がある方は、お気軽にご相談ください。

